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成長するために必要なこと

2018年10月04日

旅にはビジネスにつながるヒントが必ずある

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プロフィール 中村 洋太BizTERRACEマガジン副編集長
プロライター。旅行情報誌の編集とツアーコンダクターの経験を経て、ライターとして独立。これまでに自転車で西ヨーロッパ一周、アメリカ西海岸縦断、台湾一周達成したほか、東海道五十三次600km 徒歩の旅も。詳細のプロフィールはこちら プロライター。旅行情報誌の編集とツアーコンダクターの経験を経て、ライターとして独立。詳細のプロフィールはこちら
中村さん
BizTERRACE編集部、中道大輔(左)と中村洋太(右)

数々のユニークな旅行を経験してきたプロライターの中村洋太さんが、この度BizTERRACEマガジンの副編集長に就任することに。「旅の価値を、旅行メディアではなく、あえてビジネスメディアで発信していきたい」と話す中村さん。背景にある想いについて、BizTERRACEプロジェクトメンバーの中道大輔が迫ります。

中村 洋太(なかむら ようた)BizTERRACEマガジン副編集長

旅行情報誌の編集と海外ツアー添乗員の経験を経て、プロのライターとして独立。2018年9月より現職。これまでに自転車で西日本一周、自転車で西ヨーロッパ12カ国一周、自転車でアメリカ西海岸縦断、自転車で台湾一周を達成したほか、東海道五十三次600km徒歩の旅も。ブログやさまざまなメディアで旅の記事を発信している。

中道 大輔(なかみち だいすけ)BizTERRACEプロジェクトメンバー

本務の所属はソフトバンク株式会社法人マーケティング本部 新規事業戦略室。Yahoo! JAPANや、ベンチャーを経て、ソフトバンクにジョイン。新規事業の立ち上げを専門とし、本務・兼務問わず多くのプロジェクトに参画している。人生と仕事の幅を広げるべく東京⇄宮崎、2つの生活拠点を行き来する。

中村くん、やっぱり変な人だよ(笑)

中村さん

中道:中村くんって、これまで色々な旅行メディアで話題の記事を書いてきたんだよね?無一文で旅した話とか、東海道五十三次を歩いた話とか。

中村:色んな旅をやりましたね。

中道:ちなみに、東京から京都まで、歩いて何日かかったの?

中村:20日かかりました。

中村さん
なぜ歩く?(笑)中村の変な旅体験にあきれる中道

中道:そもそも、何で東海道を歩こうと思ったの?

中村:司馬遼太郎の小説の影響ですね。坂本龍馬とか、すぐ「江戸へゆく」とか言って土佐(高知)から歩き始めるじゃないですか。まるで「スーパー行ってくる」みたいな軽さで、何百kmも。「自分もそんな距離歩けるのかな」と気になってしまって。

中道:それで600km近く歩いちゃったと。変な人ですね(笑)

中村:でも普通に歩くだけじゃ企画としておもしろくないんで、道中に点在するクラフトビールをゴールまでに53杯飲むぞと決めて。

中道:なぜ53杯?

中村:企画名を「クラフトビール 東海道五十三注ぎ」に。

中道:やっぱり変な人だよ(笑)

中村さん
22日間で592kmを歩いた「クラフトビール 東海道五十三注ぎ」

ライターとして発信を続ける理由

中道:何がきっかけでライターになろうと?

中村:初めてライターという職業を意識したのは、大学3年生の時です。ブログで自転車旅の日記を書き始めたら、楽しくなっちゃって。

中道:その時は海外の自転車旅?

中村:いや、国内です。ぼくは中学生の頃からずっと「日本地図って本当に正しいのかな」って思っていたんですけど、大学生になってもその思いが消えなくて、大学3年の夏に自転車で西日本を一周しました。1ヵ月で2,700km。神奈川県から鹿児島までの道が本当に地図通りにつながっていたら、それ以降は地図を信じることにしようと心に決めて。

中道:クレイジーだね(笑)それで、地図を信じるに至った?

中村:それはもう!九州まで、ちゃんと地図通りに道はつながっていたんですよ!やっぱり地図って正しいんだなって感動しました。

中村さん
神奈川県から13日かけて自転車で九州に辿り着いた

中道:旅をあえてブログで発信した理由は?

中村:ぼくにとって初めての一人旅で、しかも自転車だったから、両親がすごく心配していたんですね。でもいちいちメールで「無事です」とか「今日は○○にいます」って報告するのも面倒というか、恥ずかしい。だから「ブログで旅の様子を毎日書くからそれを見ておいてね」と言ってスタートしました。そしたら、そのブログが口コミでいろんな人に広がっていったんです。「おもしろい大学生がいるぞ」みたいな感じで。

中道:じゃあ、最初は他人に見られることを想定していなかったんだ。

中村:まさかこんなに読者が増えていくとは思いませんでした。旅での出会いとかエピソードを、下手な文章でありのまま書いていただけでしたから。ところが旅を終えた時、全く知らない読者の方からメッセージを頂いたんです。「中村さんの挑戦を見ていて、私も知らず知らずのうちに諦めてしまっていた夢があったことを思い出しました。その夢に向かってもう一度挑戦してみようと思います。ありがとうございます」って。

正直、最初は感謝される意味がわかりませんでした。ぼくはただ好きなことをやっていただけですから。だけど、誰かを感動させようなんて思っていなかったのに感動してもらえて、しかもその人の背中を押すことができた。そのことに気づいて、逆に自分が感動したんです。行動を起こして、発信することによって、人々に何かいい感化を与えられるんだと。これが、ぼくが今でも発信を続ける大きな理由になっています。

中村さん

日本企業も取り入れてほしいスウェーデンの習慣「フィーカ」

中道:でも、すぐフリーランスになったわけじゃなくて、卒業後は旅行会社に入ったんだよね? そこではどんな仕事をしていたの?

中村:主に2つの仕事があって、ひとつは海外旅行の添乗員の仕事。60代から80代ぐらいのお客さまを連れて、ヨーロッパへ行ったりアラスカへ行ったりイースター島へ行ったり、年間100日近く海外に出ている年もありました。もうひとつ、東京の本社にいる時には、自社で発行していた旅行情報誌に旅の記事やツアー商品を訴求するような記事を書いていました。

中道:旅が好きなら、フリーランスよりもむしろその環境の方がいい気もするけど。

中村:さまざまな国へ行けて、学べることも多く刺激的な仕事でしたが、会社員なので色々と制約はあります。やっぱり行きたい国に自由に行きたかったし、旅の記事も自由に書きたかったんです。加えて、シニア世代だけでなく、もっと若い世代に向けて旅の魅力を発信したいという想いもありました。これからの日本を作っていくのは、若い世代ですから。

中道:そのためにはフリーランスになる必要があったと。でも最初は大変だったんじゃない?

中村:生活費を稼ぐのがかなり大変でしたね。それでも初年度は「旅と言えば中村だ」というブランドを作りたかったので、自腹で旅に出て実績を作ろうと考えました。東京から大阪まで東海道五十三次を23日間かけて歩いたり、アメリカ西海岸2,500kmを自転車で縦断したり、台湾を自転車で一周したり、ホノルルマラソンを走ったり。今年はロシアのサッカーW杯にも行きましたし、キャッシュレス文化を知りたくてスウェーデンや中国の深圳にも足を運びました。

中村さん
ロシアで開催されたサッカーW杯の試合会場にて

中道:会社勤めで貯めたお金を自分のブランディングに突っ込んだわけですね。特に印象深かった国はある?

中村:スウェーデンは強く印象に残っていますね。現地でホームステイさせていただいたんですけど、ベンチャーで働くご主人が、毎日夕方4時半ぐらいに帰ってくるんです。そして5時ぐらいから家族で夕食を食べる。なぜそんなに早く帰るのかって聞いたら、「家族の時間が大事だから」と。

決してこの家庭が特殊なのではなく、スウェーデンでは16時頃から帰宅ラッシュが始まるそうなんです。日本人からしたら信じられないですよね。労働時間が短い国であることは有名ですが、やはり実際に目の当たりにすると、本当に驚かされます。スウェーデンでは「残業する人=仕事ができない人」という認識が強く、経営者などを除けば残業する人はほとんどいないといいます。

でも、早く帰るためには効率良く働くことも必要ですよね。そこで、生産性の高さの秘訣を聞いてみると、「フィーカ」というスウェーデンの伝統的なコーヒーブレイクの習慣を仕事に取り入れていると教えてくれました。彼の会社では、朝10時と午後3時、一日2回のフィーカがあるそうです。約15分、みんなでコーヒーを飲んでリフレッシュするんですけど、その中で、業務中には声をかけづらいこととか、会議を開くまでもないような課題について話し合ったりしているらしいんです。それによって効率化されている部分がけっこうあると。

中道:リラックスできるし雑談もできるし、その中で、メールを送るほどでもない小さいことも聞けちゃう。それは確かに効率が上がりそう。

中村:そして、その時間以外は早く終わらせるために集中して作業する。この習慣は日本企業が実験的に取り入れてみてもおもしろいんじゃないかと思いました。

「替えの効かない仕事」が幸福度を上げる

中村さん

中道:フィーカを導入するようなことは働き方改革のひとつにもつながると思うけど、今の世の中の働き方改革って、中村君にはどう見えてる?

中村:まず大前提として、私たちは人生の大半の時間を仕事に費やすわけだから、仕事は楽しくあるべきものだと思うんです。仕事を通して幸福感を得られなければいけないというか。ぼくは会社員時代、自分にしかできない仕事をしている時には幸福感を得ることができましたけど、自分じゃなくてもできる仕事、「替えの効く仕事」では今ひとつモチベーションが上がりませんでした。モチベーションは生産性にも関わることだし、ヤリガイとか誇りにもつながることだと思うので、まずは「仕事を楽しむ」ための工夫が重要。

例えば外注できそうな仕事をどんどん外注したり、クラウド化したりして、自分の時間はもっとコアな部分に集中する。そうすれば仕事を楽しく感じることができ、効率も上がり、結果的に働き方改革にもつながっていくと思っています。

中道:働き方改革っていうのは制度とか仕組みを整えることだと思われがちだけど、意識とか個人のスキルを上げていくことにも関連しているんだよね。

中村:特に経営者やマネージャクラスの人たちに強い意識がなければ、制度もなし崩し的になってしまいますよね。内部の人間だけで話し合っても考え方の根本は変わりづらいので、やっぱり一度外の世界を見てほしいです。いい取り組みをしている企業を視察したり、文化や風習の違う場所に出掛けて考えや感覚の違いを実感したりしながら、それを自社に生かすという姿勢が必要だと思います。

中村さん

旅が持つ意味は「娯楽」だけではない

中道:なるほど。その辺の話から「旅」とBizTERRACEマガジンの関係が紐づいてきそうだね。

中村:一般的に旅の記事は、主に旅行メディアで掲載されるものですが、ぼくはあえてBizTERRACEのようなビジネスメディアで、旅の価値や素晴らしさを発信していきたいんです。有名な経営者や起業家、活躍しているビジネスパーソンたちの話を聞いていると、旅好きの方がとても多く、これって偶然じゃないと思っていて。

中道:おもしろい。

中村:旅先で得た知識や発想を事業に活かしたり、非日常にふれてインスピレーションを湧かせたり、そういう目的で定期的に旅をしている方が多いんですよ。

中道:APU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口治明さんもそうだよね。

中村:以前、出口さんから突然Twitterでメッセージをいただいたことがあって、「良かったら私の読書会に来ませんか?」と。

中道:おお(笑)

中村さん
出口治明さんと、読書会にて

中村:その会で、出口さんは人生を豊かにしてくれる3本柱として「人・本・旅」の重要性を熱弁されていました。本当に旅が好きな方で、海外の地名を会話に出すと、大抵は「昔行きました」と。そしてビジネスの話を世界史と絡めて縦横無尽に繰り出すんです。「この事実は1200年も前に○○が言っています」とか。その知識量に圧倒されました。

中道:すごいね。

中村:あるいは昨年、ナイキの創業者フィル・ナイトの本『SHOE DOG』がベストセラーになりましたけど、彼が世界一周旅行の途中で神戸のオニツカ社を訪れていなかったら、今日のナイキは生まれていなかったかもしれません。世界一周と言えば、メルカリを創業した山田進太郎さんも、実は2012年に世界一周の旅に出られていて、そこでの原体験がメルカリ創業のきっかけになったと話しているんですね。

中道:それは知らなかった。

中村:山田さんは新興国で人々の生活を目の当たりにして、「世界にはどれだけ能力とやる気があっても外国に行けない人がたくさんいる。自分はたまたま恵まれた環境にいるんだから、それを生かしてチャレンジしよう」と強く思えたそうなんです。

中道:いい話だな〜。

中村:あと、H.I.S.創業者の澤田会長に至っては、今年3月から会社を離れて、数ヵ月間の海外旅行に出ました。

中道:トップが自ら!

中村:旅に出る理由について、「(旅行会社である以上)海外旅行の今を知らなければ、ビジネスができない」と発言されているんですが、それだけではないと思います。

中道:というと?

中村:ハウステンボスを黒字化にした経営手腕ですとか、業界に先駆けて副業解禁(2018年5月より)にした柔軟性、常識に捉われない発想など、彼のベースにある部分は旅の経験と無関係じゃないと思うんです。旅がもたらす気付きや視野の広がり、柔軟な発想などは、ビジネスに生きます。そう考えると、旅は決して娯楽やリフレッシュだけの意味を持つものではないでしょう。

「非日常」が思考をニュートラルにする

中道:なるほど。ひとつ根本的な質問だけど、中村くん自身は、なぜ旅に出るの?

中村:単純に、知らない場所を訪れるのが刺激的で楽しいからというのと、旅をすることによってアイデアに広がりが生まれるから、ですかね。例えば、日本では「当たり前」だと思っていた価値観や習慣が、海外では「当たり前」じゃないんだと気付いたり、そういう体験が旅では必ずありますよね。それを繰り返していくと、思考がどんどんニュートラル(中立的)になっていくんです。

中道:「思考がニュートラルになる」って面白い。

中村:極端なものに触れることで、物事を測る「ものさし」ができるというか。「今まではこういう見方しかできなかったけど、こんな見方もできる」という風に、思考の偏りがなくなることでアイデアや発想に広がりが生まれて、企画を考える際に非常に役立っている気がします。

中道:その話を聞いていて、バーテンダー時代のことを思い出したよ。

中村:中道さんバーテンダーやってたんですか?(笑)

中道:20代の頃、2年間だけね。銀座のバーで働いてたんだけど、お客さんは普通に生活していたら出会わないような人たちばかりで、それこそ「非日常」の空間だった。そんな人たちから、仕事や人生の話を聞くんだよ。あの2年間で視座というか、物の見方がグンと引き上げられて、中村くんが旅の経験で得ているのと似たものを感じた。

中村:まさに同じですね。旅をすれば簡単に「非日常」を得られますけど、旅という形を取らなくても、非日常を味わう方法はたくさんあるはずです。それで言えば、中道さんが宮崎でリモートワークしているのも一緒だと思うんですよ。

中道:月に2回は宮崎へ行ってますね。休みの日はサーフィンしたり(笑)

中村さん

中村:会議だってリモートで参加しているし、仕事に支障はないですよね。

中道:仕事のためにプライベートを我慢する必要はなくて、両方一緒に楽しんじゃえばいいじゃん、っていうのが自分の考えで、土日はなるべく東京から離れて自然があるところで過ごしているんだ。

中村:宮崎以外でも好きな場所があるんですか?

中道:以前はよく箱根に行ってた。結局仕事が好きだから土日もやっちゃうんだけど、環境を変えるために箱根の旅館に泊まって。インプットもアウトプットも本当に捗るし、かつリフレッシュもできて最高だった。でも最近は宮崎ばっかり。趣味のサーフィンで気分転換できて、食事はおいしくて、流れる時間もゆったりで、元気になれる場所だよ。

中村:だから中道さん、いつも週明けから元気なんだ(笑) きっと定期的に「非日常」にふれる習慣が、仕事面でもプラスに働いてるんですね。

どんな職業の人でも、旅から得られるヒントがある

中村:少し話は変わるんですけど、この前ロシアへ行ったとき、モスクワで大繁盛しているバーガーショップを見つけたんです。「人気の秘訣はどこにあるんだろう?」とお店を覗いてみたら、みんな黒い手袋をしてハンバーガーを食べていて。

中道:へえ、ラーメン屋に紙エプロンがあるみたいに。

中村:そう。バーガーショップが手袋を配るのも確かに変じゃないし、むしろありがたいですよね。手が汚れる心配もなく、女性も大きなハンバーガーにかぶりついていました。あえて透明ではなく黒の手袋としたのもポイントだと思います。店名で調べてみたら、案の定Instagramでたくさん投稿されているんですよ。

中道:インスタ映えだ(笑)

中村:いいマーケティングですよね。これを見たとき、「日本のバーガーショップでも同じことやったら話題になるんじゃないか」とか、飲食の素人である自分ですらインスパイアされたんです。もし飲食のプロが見たら、きっとさらに色んな発想を膨らませられると思うんですよ。

中村さん

中道:そういう視点で旅をしている人は確かに少ないかも。観光名所を回るだけが旅の価値じゃない、そういうことを伝えたいわけだね。

中村:どんな職業の人であっても、海外へ行けばビジネスにつながるヒントが必ずあるはずです。だからテレビや本で得られる情報だけで満足せず、ときには現場に足を運び、自分の目で確かめてほしいですね。やっぱり現地に行かないとわからないことってありますから。

BizTERRACEマガジンでは、そういう視点で旅の価値を伝えることによって、より多くのビジネスパーソンに「旅に出る意味」を感じていただきたいです。いいものを日本に持ち帰り、それぞれのジャンルで生かすことによって、みんなで日本のビジネスシーンを盛り上げていけたらいいなと思っています。

中道:じゃあ最後に、直近ではどんな記事を書いていく予定ですか?

中村:今書いているのは、この前ソウルでおもしろいコワーキングスペースを見つけた話。それと、学生時代に協賛を集めてヨーロッパ自転車旅をしたんですけど、そのときの協賛集めの体験談なども連載していく予定です。あとは、純粋な旅の楽しさや人との交流をテーマにした記事も書いていきたいですね。

中道:楽しみにしてます!

文:高橋晃浩

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