トップページ 幸せな会社組織をつくる 「自分の会社が好きだ」と言える採用担当者は採用力が高い~中小企業だからこそとるべき採用戦術とは~

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2018年11月01日

「自分の会社が好きだ」と言える採用担当者は採用力が高い~中小企業だからこそとるべき採用戦術とは~

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曽和さん深澤さん
「このご時世、うちのような中小企業は人を採用できなくても仕方ない――」。そう思っている経営者や採用担当者は、今日から考え方を改めるべきかもしれません。

リクルートをはじめ数々の企業で採用に携わってきた曽和利光さんと、ブランディングの専門家として採用力向上を支援する深澤了さん。2人は「中小企業だからといって採用が厳しいということはない」と口を揃え、またやり方次第では採用で大企業に勝つ「ジャイアント・キリング」も可能だと断言します。

では、そのためには誰をターゲットにし、どこで戦い、何を身に付けるべきなのか。今こそ知ってほしい中小企業の採用戦術を語っていただきました。

曽和 利光(そわ としみつ)写真左

株式会社人材研究所 代表取締役社長。1971年、愛知県豊田市生まれ。灘高等学校を経て1990年に京都大学教育学部に入学、1995年に同学部教育心理学科を卒業。株式会社リクルートで人事採用部門を担当。最終的にはゼネラルマネージャとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。2011年に株式会社人材研究所を設立し、代表取締役社長に就任。「組織・人事」と「心理学」をクロスさせた独自の手法で、企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。

深澤 了(ふかさわ りょう)写真右

むすび株式会社 代表取締役。ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター/コピーライター。2002年に早稲田大学商学部を卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店・株式会社アドブレーン社の制作局へ配属され、 CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオCMの企画・演出を中心に従事する。株式会社パラドックス・クリエイティブ(株式会社パラドックス)などを経て、2015年にむすび株式会社を設立。ブランド構築やマーケティング戦略、広告戦略、コミュニケーション戦略を専門とし、FCC賞(福岡コピーライターズクラブ賞)、日本BtoB広告賞など受賞歴多数。著書『無名×中小企業でもほしい人材を獲得できる「採用ブランディング」』(幻冬舎)をはじめ、人事担当者向けの連載や講演なども多数手がけている。

「うちは中小企業だから」という思い込みを捨てよう

曽和:「中小企業だから採用が厳しい」という声をよく聞きますが、それは全くないと私は思うんです。

深澤:うん。同感です。

曽和:実際に私が関わっている例でも「関西の有名国立大卒の新入社員を毎年20名ずつ採用できている不動産会社」や「有名大卒の学生を幹部候補として採用できたスーパーマーケットチェーン」などがあります。率直に言って、この2つの業界は採用市場での人気は高くはない。そんな業界の中小企業でも、大企業が欲しがるような学生をバンバン採用できているんです。

深澤:採用に大きく予算を割かなくても、できることはたくさんありますもんね。

曽和:そうですね。ターゲティングさえ的確であれば。

曽和さん
株式会社人材研究所 代表取締役 曽和利光さん

深澤:つまり、採用がうまくいかない中小企業はターゲティングを間違えていると。

曽和:はい。採用に成功している中小企業は、あえて高い目標を設定しているんですよ。それこそ有名大卒の学生をターゲットにするとか。逆にうまくいかない企業は、「うちの企業力だとせいぜいこの辺だろう」といった感じで、無難なターゲットに落ち着こうとする傾向があります。「うちは中小企業だから」と自分で自分にレッテルを貼って、戦うフィールドを間違えているんです。

深澤:ブランディングの観点でも同じことを感じますね。「うちには強みなんてありません」と決めつけてしまう企業が多いんですが、どんな会社にも強みは必ずあるんですよね。

深澤さん
むすび株式会社 代表取締役 深澤 了さん

曽和:「唯一無二の独特なもの」なんて、そうそうあるものではない。しかし、深澤さんが言うように「強みと言えるもの」は必ずあるはずなので、自信を失う必要はありません。よくみなさん差別化という言葉を使いますが、私はそこに間違いがあると思うんです。差別化という言葉にミスリードされている。相対的に他社と比べるのではなく、自分たちの観点において「負けないぞ」という部分を押し出して戦えばいいんです。

深澤:では、なぜ強みを見出せない企業が多いのでしょうか?

曽和:今の採用活動の仕組みに罠が潜んでいる気がします。例えば合同就職セミナー。あれって「他社と比べて明確にランク付けされる場所」なんです。「うちのブースはガラガラなのに、あっちには長蛇の列が…」といった具合に、自社と他社の人気度の違いが可視化されてしまう。イベントそのものを否定するつもりはありませんが、あえて自信を失う場に出ていくのはどうなんだろう?と思いますね。

空中戦ではなくゲリラ戦で勝負すべし

深澤さん

曽和:エントリがない状況が続いて悩んでいる企業も多いですよね。限られた予算をどう使うかも難しいですし。

深澤:場合によっては、空中戦よりも地上戦を進めるべきかもしれません。

曽和:地上戦とは?

深澤:ゲリラ戦と言った方が正確かもしれません。就活生と「1対1」で話す状況をいかにして作るか。もし採用したい人数が10人程度なら、就活ナビサイトに100万円以上の予算を投下するよりは、自分たちで直接ターゲットに会いにいった方が効果的ということもあります。曽和さんも以前「学校の近くで説明会を開く」という話をされていましたよね。

曽和:ターゲットとしている大学の近くに会場を作って、オリジナルの説明会を開くというやつですね。キャンパスの前に立って学生に声をかけるというアナログな方法で会場に来てもらうという。

深澤:そんな風に自分たちで機会と場所を設けて、1対1でメッセージを伝えられるようにするべきだと思います。採用に関する業務は多岐にわたるので、どうしても効率化を考えがちですが、こればかりは労力を惜しんではいけません。

曽和:知名度では大企業に負けるけど、「人対人」なら負けないかもしれないですよね。

深澤:中小企業は、感覚で「人と人とが出会う場所」を作っていくべきなんです。場所はそのへんにあるカフェでも構いません。

曽和:最近では中小企業の方が大企業然とした手法をとってしまっている気がしますね。例えばエントリシートなんて、絶対に書かせてはいけないですよ。学生が出すエントリシートはだいたい10社程度です。その中に入り込むのは非常に難しい。エントリシートを課すだけで来なくなります。企業が日程を決めて参加を求める会社説明会も、やめた方がいいですね。

狙いは「好きなことを頑張っている人」と「ドリームクラッシュ組」

曽和さん深澤さん

深澤:ターゲティングについては、具体的にどう設定するのがいいのでしょう。

曽和:私は「就職活動をあまり頑張っていない優秀な人を狙いましょう」と提案しています。就職活動を頑張っている人はブランド志向が高い。なので、知名度のない中小企業に応募する確率は低い。どんなにおもしろいコンテンツを用意しても、魅力的なインターンシップの場を設けても、応募すらしてくれないわけです。

深澤:就活を頑張っている人は、すでに目指すべき企業をロックしていると。確かに、そこに割り込んでいくのは難しいですね。では「就活を頑張っていないけど優秀な学生」ってどんな人なんでしょう?

曽和:就活に力を入れていないが自分のやりたいことには全力投球しているような人、自身のやりたいことを徹底的に頑張っているような人です。大学3年生や4年生の貴重な時間を就活に捧げるんじゃなくて、例えばどこかの南の島へ行って人とは違う体験をし、真っ黒になって帰ってくるような…。

深澤:「時期がきたら髪の毛を黒くして、みんなと同じリクルートスーツを着る」という頑張り方とは違う頑張り方をしている人ということですね。

曽和:あとは「ドリームクラッシュ組」です。売り手市場と言っても、大手企業に入れるのはせいぜい10万人くらいなんですよ。就活をする学生はだいたい60万人なので、大手企業へ行ける人は2割もいない。夢破れた人たちを狙うのも一つの選択肢としてあっていいと思います。なので、大手企業の選考結果が出終わった6月中旬から7月末くらいまでが、中小企業の頑張りどきだと言えるでしょう。

会社のコンセプトを明確にし、採用力を高める

曽和さん

深澤:その、中小企業の頑張りどきとなるタイミングが来たときには、「自分たちはこれを話せばいいんだと信じられる内容」を確立しておく必要がありますね。僕はこれを「コンセプト」と呼んでいます。コンセプトが明確なら、ゲリラ戦でも優位に立てる。コンセプトに紐付けて自社を語ることで、内容に一貫性を持たせることもできるんです。

曽和:では、そのコンセプトをどうやって見つけていくのか。ここは採用活動に行き詰まる中小企業が特に知りたいポイントではないかと思います。事業内容が尖っていればいいけれど、そんな会社ばかりでもないし、社長の魅力を打ち出すにも限界がありますよね。

深澤:まずは現場の社員に話を聞くのがいいと思います。自社の好きなところや業務の魅力など、5人程度に1時間ぐらいずつ話を聞けば、なんとなく自社の特徴は掴めると思います。

曽和:コンセプトが明確になったことでうまくいった事例はありますか?

深澤:横浜家系ラーメンの「町田商店」を展開している株式会社ギフトさん。僕が社長にヒアリングした際に、「ただラーメンを出すんじゃない。目の前の人に贈り物をするように出しなさい」という話を聞きました。それが素敵だと思い「家系を世界の贈り物に。」というコンセプトを提案しました。今ではそれを企業スローガンに掲げてくださっています。

このコンセプトが固まってからは採用活動もガラリと変わり、社員が自社コンセプトを語れるようになりました。そして、学生に「強くて、好ましくて、ユニークな」イメージを持ってもらえるようになったんです。

曽和:コンセプトが明確になると、採用担当者自身も、自分の会社のことをもっと好きになれますよね。就活生に話をする上でも生きてくると思います。

例えば、自社に入ってほしい人材が面接にきてくれた際、採用担当者は自信を持って「うちへおいでよ」と言えなきゃいけない。「僕は何も取り柄がないけれど君を好きなことだけは本当です」と告白するみたいに、たとえ根拠がなくても、相手を口説く力が必要だと思うんです。一流の採用担当者はそれができる。

深澤:これはスキルというよりも、マインドの部分ですね。

曽和:そうですね。採用担当者がそう言い切れるようになるためには、自分の会社が本当に好きである必要がある。ナンバーワンの会社ではない。知名度もない。特に成長していないかもしれない。給料だって安いかもしれない。「でもこの会社が好きだ」と胸を張って言える。そういう採用担当者は、ものすごく採用力がありますよ。

新卒なら「ジャイアント・キリング」も起こせるはず

曽和さん深澤さん

深澤:中小企業だと、新卒採用をせずに中途採用ばかりする会社も多いですよね。

曽和:確かに。

深澤:「中途でどんな人がほしいですか?」と聞くと、「特に経験は求めないから、20代の元気な人に来てほしい」と言われることも多いです。でもそれって、新卒採用でもいいんじゃないかと思うんですよね。でも、スケジュール感などを見て「新卒は難しい」と思い込んでいるケースが多くて。

曽和:中小企業あるあるですね。私たちからすると、中途よりも新卒の方が難易度は低いと感じませんか?

深澤:感じます。

曽和:中途で応募する人は現実的なんですよね。会社に対して幻想を抱いていない。現金なところもあるし、それだけ会社を厳しく見ているという部分もあります。それに対して新卒学生は未来の会社と未来の自分をつなげようとしているから、中小企業でも大企業に勝てる可能性が大いにあるんです。

深澤:スポーツで弱小チームが強豪チームに勝つ「ジャイアント・キリング」のようなことが起きますよね。

曽和:そうそう。新卒では大企業を蹴って中小企業に来るということが割と頻繁に起きるけど、中途ではほとんどありませんから。経験がないことへの不安を乗り越えていけば、中小企業の採用の可能性はまだまだ広がっていきますよね。

深澤:はい。スキルや経験を求めない採用をするなら、新卒や第二新卒にどんどん門戸を広げていくべき。僕はこれを、本当に声を大にして言いたいんです。

限られた時間やマンパワー、予算を有効に使うために

工夫を凝らした情報発信の有効性や、応募者との密接なリレーションの大切さなど、中小企業における採用支援・採用力向上に長く関わってきた曽和さんと深澤さんのお話には、大企業に劣らない採用の成果を生み出すためのヒントが、たくさん詰まっていました。

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文:多田慎介

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