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起業後

2019年01月31日

日本最初の禅寺・建長寺の老大師が、経営者の悩みを斬る!

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吉田正道 老大師

鎌倉にある臨済宗建長寺派の大本山、建長寺。鎌倉五山で第一位の寺格であり、日本で最初に”禅寺“と称した、臨済禅だけを修行する専門道場です。この歴史ある建長寺の最高責任者が、管長の吉田正道老大師。

吉田老大師に今回、特別に悩める経営者たちの相談事を持ちかけさせていただきました。スティーブ・ジョブズをはじめとする、世界中の経営者やビジネスパーソンを魅了した禅の思想。果たしてどんな有り難いお言葉がいただけるのでしょう。

建長寺派管長 吉田正道 老大師(よしだしょうどう)

室号・栢樹庵。1940年、岐阜県生まれ。12歳のとき、愛知県木曽川の宝光寺、六鹿東栗和尚について得度。1959年、京都建仁寺僧堂の竹田益州老師に参じ、その法を嗣がれた。東京・寒光寺住職、1987年、建長寺派第7代管長、ならびに僧堂師家に就任。

基礎があるから、チャレンジできる

吉田正道 老大師

【お悩み・一】
会社を継続していくためには、新しいことにチャレンジすることも必要だと思っていろいろやっているのですが、プロジェクトが頓挫するなどしてなかなか続きません。続けるためには何が必要なのでしょうか。

【お答え】
新しいことが続かないのは、基本的なことがおろそかになっとるでやないかな。中抜けしとるんやな。温故知新、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る、という言葉があるやろ。自分が以前に習ったことや昔のことをしっかり習熟すれば、新しいことを知ることができる。やっぱり、今までのことをきちっとしてから、次にかかることが大事。

これまでのことをきちんとやっていたら、次にいくときも「あれはどうなっていたかな」「前のこと、やり残してないかな」といった思いは出てこない。諦められるやろ。諦めるというのは、今の日本語では「しかたなく断念する」といった意味で使われとる。でも、「諦」の字には「つまびらかにする」とか「明らかにする」という意味がある。ものごとが明らかになれば、納得してそれをやめることができる。次にいける、という意味やな。「諦める」はわしの好きな言葉や。

うちも、時代にあわせて新しいことをいろいろやっとるよ。昔は一般向けの坐禅会だってやっとらんかったのに、今は外国人の方に向けて英語の坐禅会もやっとるでな。でもそれは寺でずっと守られてきたことを、毎日欠かさずやっとるからできる。受け継がれてきたことがしっかりしとるから、新しいことも取り入れられるんや。

​叱るのは上に立つ者の役目。言うときはスパッと

吉田正道 老大師

​【お悩み・二】
叱るよりも褒める時代。昔は若手社員に対してガンガン叱っていたのですが、最近はパワハラも恐くてめっきり叱れなくなってしまいました。これでいいのでしょうか。

【お答え】
それは、よいことないやろな。若い人には、ある程度厳しくやらんと、芽が出ない。叱らんで伸びる人もおるかもわからんけど、大抵はビシッと教えてあげないと。叱ったら嫌われるんじゃないかとか、つぶれちゃうんじゃないかとか、そういうことは関係ない。上に立つ者は、厳然としてりゃいい。西洋の経営者だってそうやろ。言うときは言う。けっこう恐ろしいものやで。

わしも70超えて、今は若いときに叱ってもらったことが、ものすごく土台になっていると感じる。いくら勉強になってるかわからんね。「あのとき、あの人がああいうこと言うてくれた」っていう思い出がたくさんある。叱られたことがない人は、損してると思う。

うちは禅宗の寺だから雲水(修行僧)に対しては、箸の上げ下ろしから歩き方まで、本当に厳しく言うよ。同じこと何遍も言うし、何遍もやり直しさせる。でもそのときは、グチグチ言わない。スパッと言う。これが叱り方のコツやな。そうすると、あとを引かないからね。

仕事も趣味も、生きるという意味では変わらない

吉田正道 老大師

【お悩み・三】
たくさん趣味があって、仕事の時間と趣味の時間のバランスをどうとるべきか悩んでいます。もっと趣味の時間を削って、仕事に没頭した方が成果が出るのではないか、と思うこともあり・・・。ワークライフバランスをどう考えたらいいのか、悩ましいです。

【お答え】
趣味と仕事、やっとることが別々でも、やり方などそこには一貫性があるんやと思うよ。例えば、わしは料理が大好きでな、正月なんかにはお客さんに振る舞う料理を100人分作ったりする。わしは黒豆炊くの名人やで(笑)。でもこれも、修行だと思っとる。一貫しとる。ゴルフが趣味なら、ゴルフを通して仕事の何かを掴むこともあるやろ。楽しみは楽しみと切り分けられるもんでもない。仕事も趣味も生きる上でやることとしては、少しも変わらんわけやからな。

ワークライフバランスといっても、経営者は常に仕事のことを考えとるもんやろ。下のもんは、酒の場なんかは仕事のこと忘れられるけど、経営者はそうはいかへん。まあ、わしも24時間仕事やな。生活と仕事が一体になっとるで。そんなにバランス考えんくてもよいと思うわ。

ただ、それを社員に押し付けるようなことはしたらいかん。それだけは気をつけんといかんな。

​本業があってこその副業

吉田正道 老大師

【お悩み・四】
副業をOKにしたら、会社へのコミットやロイヤリティが下がってしまった気がします。会社が社員を縛る時代ではないと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。

【お答え】
ふむ、社員の方は、勤務時間というものは決まっとるのかな。決まっとるんやとしたら、その時間はやっぱり会社のことを一生懸命やらなあかんよ。

副業がよいか悪いかはわしにはわからんけれども、本業がしっかりしてこその、副業やろ。本業がおろそかになったら、どっちもいい加減になってしまうと思うね。集中するときは集中する。座禅だってそう。その瞬間に集中して、姿勢をまっすぐにすると、自然と落ち着いてくる。頭の中が空っぽになる。

副業みたいに、新しい制度を取り入れてみてよくないなと思ったんなら、改善していけばよい。なにか条件をつけてみたり、いったん元の制度に戻してみたり。やってみないとわからんものやからね。

変えてよくしていけるのが、人間の知恵というものやで。

経営者は孤独なもの。内面を磨こう

吉田正道 老大師

【お悩み・五】
会社に自分がいないとき、ほかのメンバーどうしでの人間関係がうまくいっていないようなのですが、どうしたらよいのでしょうか。また、会社に自分の居場所がなくて寂しいです。

【お答え】
それは、社員一人一人が仕事に責任を持ててないということやろうな。経営者がいないと、みんなでうまくやれへんなんて、これはちょっと経営としては失敗やないかね。経営者自身が、裏で楽をしようと思っとるんやないかな。

​経営者っていうのは、孤独なもんやよ。わしだって孤独やから。そんなものは当たり前で、それを寂しいというのは我儘やな。居場所がないなら、一人でおればいい。
一人の時間は、自分を練る時間だと思えばいいな。内省する時間。そして、これからどうしていくかを考える時間。内面を磨くようにする。そうすれば、社員も自ずとついてくるんやないかな。

吉田正道 老大師

建長寺では、毎週2回開催している一般向けの座禅会と、年に2回二日間にわたり禅寺で過ごす水無月・臘月坐禅会を開催しています。禅に興味がわいた方は、参加してみてはいかがでしょうか。

建長寺
〒247-8525 神奈川県鎌倉市山ノ内8
https://www.kenchoji.com

企画:大崎安芸路(ロースター)/文:崎谷実穂/写真:栗原大輔(ロースター)

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