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起業直後

2019年03月29日

5.4億円調達のマーケロボが、事業計画書を無料公開した理由とは?

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田中 亮大さん

5.4億円の資金調達をしたMarketing-Robotics株式会社 代表取締役の田中亮大さんが、今年2月、同社の事業計画書をネット上で無料公開し、起業家やベンチャー関係者の間で大きな話題となりました。田中さんのFacebook投稿はあっという間に数千人にシェアされ、「とてつもないマーケティング効果だ」という称賛の声も。事業計画書を公開した背景や今後の狙いについて、田中さんに伺いました。

田中 亮大(たなか りょうだい)

Marketing-Robotics(マーケロボ)株式会社 代表取締役
1985年山口県萩市出身。2008年大学卒業後、外資系製薬会社に入社。翌年、個人コンサルタントとして独立。以降、日本の社長.tvの取締役やベルフェイス(株)を設立し副社長、販売会社の社長を歴任し、2016年9月にタクセル(現:Marketing-Robotics)を設立。MA(マーケティングオートメーション)やインサイドセールスの専門家として確固たる実績を持つ。

――まず、Marketing-Robotics株式会社(以下、マーケロボ)の事業内容ついて簡単に教えていただけますか?

田中 「KAIGAN」というMA(マーケティングオートメーション)ツールを自社で開発しています。MAは、簡単に言うと「アナログな営業をデジタルな営業に変える」というもの。そしてMAツールの開発だけではなく、運用のコンサルやインサイドセールスBPO(外部委託)までワンストップで行っているのが弊社の大きな特徴です。

――早速本題に移らせていただきますが、5.4億円の資金調達に成功した御社の貴重な事業計画書を、今回Facebookを通して無料で公開されました。一体どのような背景があったんですか?

田中 当初はこれでマネタイズしようとか、そういう考えは一切なくて、次に続く起業家たちの役に立ちたいという純粋な想いが根底にありました。資金調達に成功したと言っても、決して僕ひとりでやったことではないですし、運やタイミング、そして多くの人の支えがあって実現したことです。だからそのお礼というか、何か社会に対してお返しをしたいなという気持ちでした。

田中 亮大さん

――なるほど。起業家たちは、実際に事業計画書を作る上で参考にできますもんね。

田中 上場している企業は事業計画書を公開していますけど、シードラウンドやシリーズAの会社は公開していないし、ネットで調べても見つからないんですよね。だから、僕が公開することには意味があるかな、と思いました。

――非常に有益な資料ですよね。でも、長い時間をかけてブラッシュアップした事業計画書だと思います。普通は「他人には見せたくない」「アイデアを真似されるかも」などと考える人も多そうです。

田中 「資金調達に成功した=事業に成功した」では全くないんですね。事業に成功するための資金調達なので。資金調達をしたなら、後は事業計画書どおりにやるべきことを粛々とやっていくだけ。ある意味、その事業計画書はもう「過去のもの」なんです。

起業家はそれ以上の事業を考えて、社会に対して価値を生み出していかないといけないのに、過去の事業計画書を「パクられるかも」なんて隠していても仕方ないですよ。大型の資金調達をする会社というのは、いずれ上場するわけです。そしたら事業計画書も公開するんですから、守っていても仕方ない。

とはいえ、企業によっては公開するべきでないタイミングなどもありますし、もちろん全社が公開するべきだとも思っていません。その点は誤解されないようにしたいです。

――公開した結果、当初はどうなると予想していましたか?

田中 せいぜい200〜300人くらいの知り合いが、面白がって「見せてよ」と言ってくる程度だと予想していました。なので最初は、声かけてくれた人に個別に事業計画書のデータを送るつもりだったんですよ。

――予想はそのくらいだったと。では、実際の結果はいかがでしたか?

田中 予想の30倍ぐらいですよね、7,000人以上の人が事業計画書をダウンロードしたいと言ってくれたわけですから。この数は、今も伸び続けています。個別対応なんて当然無理な人数なので、急遽「億単位で資金調達したスタートアップ企業の事業計画書が無料で見れるグループ」というFacebookグループを作成して、各自でダウンロードしてもらえるようにしました。

――ものすごい反響でしたよね! 田中さんのFacebookの投稿は4000以上シェアされていましたが、あんな拡散のされ方はなかなかお目にかかれるものではありません(笑)

田中 僕の知らない人もたくさんシェアしてくれましたし、無料公開でしたが結果として多くの人に会社のことを知ってもらえたので、「マーケティング手法として画期的だ」と言ってくれた方もいましたね。

田中 亮大さん

――公開したメリットは、単純に感謝されたり、自分の会社のPRに繋がった以外にも何かありましたか?

田中 採用の応募がメチャクチャ増えましたね。あとはサービスに関する問い合わせも増えたので、営業効果がありました。

――すごい、よいことずくめですね。また、Facebookグループは7,000人を超える規模になっていて、ものすごく価値のあるコミュニティだと思います。そこを活用するという意味では、どんなことを考えてらっしゃいますか?

田中 たった1社の事業計画書を公開しただけでこの反響だったので、今後は億単位で資金調達したほかのベンチャーの事業計画書も、このグループ内で見られるようにしていきます。事業計画書を見たい人たちからしても、このFacebookグループにくれば定期的にさまざまなスタートアップの事業計画書がアップされる、という状況は、すごく便利ですよね。公開する企業にとっても、自分たちが単独で公開するよりも、遥かに閲覧数は伸びるでしょう。なぜなら、このFacebookグループが「事業計画書を見たい人たち」の集まりの場であり、その参加者は今後もどんどん増えていくからです。広告費を使わないでこの人数なので、広告を打てば3万人ぐらいのグループになると思うんですよね。

――面白い。そうすると、さらなる展開が生まれていきそうですね。

田中 実は、オンラインサロン化しようと思って、テスト的にスタートしてます。こちらも数日で、100名ほどの方が有料(月4,980円)でも価値があると言って入ってくれています。引き続き、各社の資料をダウンロードで閲覧できるのは無料です。ただし、事業計画書だけ見ても、実際にどんな風にプレゼンテーションしているのかという、その様子まではわからないですよね。そこで、「直接事業プレゼンテーションを聞ける場」というイベントを開きます。これは参加費をいただきます。

また、イベントに来られない地方の方も多くいらっしゃるので、イベント映像をきちんと編集して、観やすくした上で、サロン会員に届けるつもりです。

さらに、これだけ起業したい人たちが集まっているということは、当然支援したいVCもたくさんいるはずじゃないですか。だから起業家とVCの交通整理もこちらで行なって、繋がりをサポートしていきたいなと思っています。

――本当に素晴らしいです。元はと言えば、無料で事業計画書を公開しただけなのに、ここまでの展開が生まれるとは。最後になりますが、起業したばかりの方や、これから起業しようと考えている方たちへ、何かアドバイスをいただけませんか?

あえて厳しいことを言いますが、「正直、みんな夢見すぎだよ」と思います。僕も33歳だし、若いといってももう10年ぐらい自分で事業をやってきて、苦労してきたから今があるわけです。

というのも、いろんな人と会っていると、「ゼロからサービスを生み出して、Forbesに載りたい」みたいに甘く考えている人がとても多いんです。でも、「起業したいんです」という人を1万人集めても、その中で実際に起業して、かつ資金調達でシードラウンド、さらにその先のシリーズAまで進める人間なんて、ひとりいるかどうかの世界ですよ、実際には。

田中 亮大さん

――1万人にひとり。現実は厳しい・・・。

田中 だから、「自社でSaaS ツールを開発するために資金を集めます」というのは、あまり現実的ではありません。例えば「いつか起業したい」と思っている会社員だとしたら、まずは成功しているツールを自社に導入させて、自分が使い込むところから始めてほしいですね。

億単位の資金調達に成功したプロダクトというのは、やはりそれだけの価値があるわけですから、まずは自分が体験して、細かいところまで見てみる。そしたら、今度は副業でそのツールのコンサルすることもできるわけです。

――なるほど!

田中 実際、今成功している企業の多くが、最初は代理店からスタートしているわけじゃないですか。サイバーエージェントだって、最初は広告代理店だった。他社がたくさんお金をつぎ込んで作ったプロダクトも売れないようで、まだ金もない自分のアイデアなんて売れるわけがないんですよ。

まずはフランチャイズとかでもいいから、SaaS商材のパートナーになって、コンサルをする。世の中には、SaaSを使えない企業が多くありますから、そこの導入支援をする副業とかで経験を積むのもいいと思います。

――とても説得力のあるお話です。

田中 それで、世の中にはどんなSaaS商材があるのか、と探すときに、SaaS商材のマーケットプレイスである「BizTERRACEストア」があるわけじゃないですか(笑)

――すごい、うちの宣伝にまで繋げていただいて(笑)。本日はありがとうございました!

文・写真:中村洋太

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